呼吸器内科では一般の呼吸器疾患の患者様は火曜日と金曜日の午前中に外来診療を行っています。
当院は高度医療を提供する特定機能病院として厚生労働省から承認されており、受診には原則として、医院又は病院からの紹介状(診療情報提供書)が必要です。
紹介状をお持ちの方は午前11時までに大学病院総合受付までお越しください。またご予約を希望されるかたは受診希望日の前日までに外来予約係へご連絡ください。
一般的に慢性の咳というのは3週間以上を目安としています。これには、急性上気道炎(かぜ症候群)後の咳(1-2ヶ月咳だけ残ることがあります)、気管支喘息、アレルギー性、後鼻漏症候群(鼻水や副鼻腔炎の分泌物が喉の奥にたれこむ)、逆流性食道炎、ある種の降圧剤(ACE阻害剤)の副作用などがあります。診断には詳しい問診の他、採血や痰の検査、胸部レントゲンやCTなどが必要となることがあります。
アレルギーが基礎になって気管支の壁に炎症が起きることが原因です。喘息の発作は、気管支の筋肉(平滑筋)をれん縮(収縮)させ、気管支の粘膜がむくみ、たんが気管支につまることで気管支が狭く細くなり、空気が通りにくくなり呼吸が苦しくなります。喘息発作は、自律神経のうち副交感神経が優位となる夜中から朝方にかけて、せき、喘鳴、呼吸困難が現れやすくなります。喘息は、子供から成人、70才過ぎてからも初めて出てくることがあります。
喘息の治療は、世界的に治療ガイドラインが作られており、それに沿って行います。アレルギーによる炎症を抑える吸入ステロイド薬を中心にした治療を行います。治療の目標は、自覚症状がないようにするだけでなく、気管支の炎症を抑え、肺機能を正常化し、普通の生活が送れるようにすることです。このため、症状がなくなっても、吸入ステロイドを中心とした治療はずっと続けます。
喫煙歴のある中高年に多い病気で、タバコが主な原因です。タバコによって、肺の組織が破壊される肺気腫と慢性気管支炎とを併せてCOPD :chronic obstructive pulmonary
diseaseといいます。せき、たん、呼吸困難などが主な症状です。
レントゲン検査、CT、肺機能検査が必要です。治療の第一は禁煙です。また、呼吸困難に対し吸入薬(抗コリン剤)や内服薬を使います。動脈血の酸素が低くなってくると酸素吸入を自宅で行うこと(在宅酸素療法)も必要となってきます。家に閉じこもりきりにならないで、外出・散歩など行い、無理のない範囲で体に刺激を与えることも大切です(リハビリテーション)。
いずれも気管支の慢性炎症により、せきやたんが出る病気です。進行すると気管支に菌が定着してしまい、時々感染が増悪することがあります。感染を繰り返すと気管支の破壊がより進み、さらに菌がすみ易い状態になるため、近年マクロライド少量長期投与(クラリス=クラリシッド、エリスロマイシンなど)という治療法が確立され効果をあげています。あまり気管支の破壊が進行しないうちに始めた方が良いとされています。
肺組織に線維化がおこり、肺が硬くなるため、酸素の取り入れが障害される病気です。症状は、呼吸困難とせきです。肺胞という壁が厚くなり酸素の取り込みが悪くなり、硬くなることで肺活量が落ちます。原因不明のものからアレルギーによるもの、膠原病に伴うもの、薬剤によるものなどさまざまで、進行も、急に発症や増悪して命を奪うものから慢性にゆっくり進行して徐々に症状がでるもの、長期間変化がなく自覚症状もないものまで様々です。従って個々の患者さんでどのタイプか見極めることが大切で、これには色々な検査が必要となります。治療は副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤が用いられますが効き目に差があり、確実に有効な治療はまだありません。治療すべきか・治療の有効性が期待できるかなども精密検査で分かることもあります。原因は不明のもの(特発性間質性肺炎、肺線維症)が多いですが、必要に応じて気管支鏡検査や外科的肺生検などで肺の組織を取って調べ、治療薬に反応するタイプかを確認してから治療を始めることもします。必要に応じて在宅酸素療法を行います。
現在、癌の中で一番死亡率の高いものの一つです。タバコが大きな原因ですが関係のないものもあります。初期では症状がなかなか現れにくいので、診断が遅れて根治的な治療ができにくいことが問題なので、出来るだけ早く発見、診断することが大切ですので、胸部の検診は数ヶ月ごとから毎年受けておくべきでしょう。治療は、可能なものは外科手術を行います。手術が出来ない場合は、全身化学療法(抗癌剤治療)、放射線療法が中心です。
結核菌によって起こる感染症で、人から人へうつります。耐性菌でなければ治療すればほぼ完治する病気です。喀痰検査、レントゲン、CT、気管支鏡検査などで確定診断をつけます。治療は3~4種類の抗結核剤を6~9ヶ月内服します。
抗酸菌で結核菌の仲間で、20種類以上の菌の種類がありますが、結核菌(定型(典型的な)抗酸菌)と違って人から人への感染はありません。進行性の場合は、菌種に準じた治療を行いますが、もともと薬が効きにくい耐性菌が多く、治療は長期化し、治療後も再発を良くします。いろいろな条件により薬物治療を行うかを決めます。
夜間睡眠中の無呼吸、いびき音を起こし、昼間の眠気やひどい場合には突然死の原因になると言われています。正確に診断し、治療法を決めるためには、一泊入院して睡眠中の詳しい検査を行う必要があります。治療はCPAP(continuous
Positive airway pressure)を毎晩装着して寝ることにより、呼吸が止まらないようにする方法が主体です。
高齢の慢性肺疾患患者では細菌性肺炎を合併しやすく入院・死亡のリスクが高いことが知られていますが、中でも肺炎球菌は敗血症になる危険性も高く、一般の抗生物質に耐性菌も多く出現してきています。肺炎球菌ワクチンは自費診療ですが一回の接種で約5年間効果が維持されますので、インフルエンザワクチンに加えて接種されることをお勧めします。